レースを動かす色んなモノ


レースを左右する代表的な要素は、言うまでもなく馬の能力と騎手の腕です。
しかし、それ以外にも結果を左右するあらゆる存在がちりばめられているのです。

脚質
これまで『戦法』とも称して使ってきた言葉ですね。
かいつまむと『道中で前につける加減と最後の直線に残す力の配分』と言えばいいでしょう。
道中で前に行く順に逃げ・先行・差し・追い込みとなり、従って直線に残す力の量は逆順になります。

気性が悪い馬は、得意脚質でなくても思い切って逃げれば、引っ掛かることが少なくなります。
引っ掛かるとは、馬が騎手との協調を欠いて前に行きたがる仕草のことです。
馬の引っ掛かる確率が増す要素は3つあり、
 ・ 馬の気性が悪いほど引っ掛かりやすくなる(最大要因)
 ・ レースペースが遅いほど引っ掛かりやすくなる
 ・ 脚質が後ろであるほど引っ掛かりやすくなる
 ……となっています。
引っ掛かると、直線まで溜め込んでおくべき力を無駄に消耗してしまい、
直線での伸びが鈍くなります(短距離戦では力を使い果たす前に加速に入れることもあります)。
もっとも、気性が悪いというだけで間違いなく引っ掛かるわけではありません。
逃げは、仮に引っ掛からずとも勝手にバテる事がありがちです。
どれが安全策でどれが賭けかという物はない世界、思うようにやってみましょう。

ペース
出走馬全体の脚質で決まる要素がペースです。
ペース決定の対象は逃げと先行馬のみで、差し・追い込み馬は先行馬達が作り出すペースに乗るしかありません。
決定的な要因となるのは逃げ馬です。そこに先行馬の頭数や逃げ馬へのプレッシャーが加味され、最終的なペースが判断されます。
基本的にはペースが上がると差し・追い込みが有利になり、下がると逃げ・先行馬が有利になります。
前半ゆっくり行ければ逃げ馬たちは力を残して直線に入れますし、前半が速くなれば前を行く馬たちは直線でバテてしまうというわけです。
特にペースがスローか超スローで逃げ(『大逃げ』か『逃げ』を選択)馬が1頭だけ、
その逃げ馬が出遅れ判定に引っ掛からなかった場合
単騎逃げと呼び、他の馬の末脚が鈍ります。
目標にされやすく不安定な逃げ馬ですが、逃げることだけで得られるアドバンテージもあるのです。

ただし。逃げや先行馬は、スピードが出走馬平均の90%以下になると、
ペースを上げる要素としての重要度が1段階軽くされます。
スピードのない逃げ馬は先行扱い、速さのない先行馬はペースに対する影響力を持てなくなってしまいます。
そのため、逃げ馬が何頭もいるのに超スローに落ち込むことがあり得ます。

単純には差し有利のハイペース、先行有利のスローペースですが、
頭に『超』がつくハイかスローになると事情が変わってきます。
超ハイや超スローになった場合、最後の直線で
瞬発力もしくは持続力が計算対象から外れてしまいます。
その結果、持続力の足りない差し馬や瞬発力の足りない先行馬は
有利なはずのペースでほとんど伸びなくなることがあります。
過ぎたるは及ばざるが如しとはよく言ったものです。
また、競馬場の特徴がペースの有不利をある程度打ち消すこともあります。

馬場状態
馬場への水分浸透度によって良・稍重・重・不良(ダートのみさらに泥田)があります。
基本的に芝は湿るほど遅く、ダートは速くなりますが、どちらも湿ると差しにくくなるのは同じです。
濡れた状況が苦手な馬はさらに末脚が鈍り、能力差を覆すに至ることもあるかも知れません。
ダートのみにある泥田馬場では、馬場適性を一切無視して全馬の直線の伸び係数が統一化され、先行が極端に有利になります。
また、馬の根性は悪天候下の忍耐力も示しますので、これが低い馬は走法的に重馬場が得意でも思ったほど伸びなかったりします。

海外のレースは良馬場を基本とし、そこに天候を加味して決定されるため、
天候不順時も比較的良い馬場になる傾向があります。

5・6月(梅雨前線)と9・10月(秋雨前線)は他の時期よりも雨が降りやすい設定になっています。
5月・10月……長雨型(雨以外の変化率は通常期と同じですが、一旦降り出すと長引く傾向があります)
6月・9月……俄雨型(好天から一気に強い雨が降ったり、雨天からいきなりカラッと晴れたり。不安定です)
(降りやすい設定であるだけで、空梅雨になることもありえます。
 逆に、特に降る季節でなくても1日中降る可能性だってあります)